【完】狼様の最愛。
side 無
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「……怪我してるの?」
「…………お前には関係ない。」
大きな山の、小さな広場
の、隣の竹林。
そこにいたのは、一人の人間の少女と、足を怪我する大きな白い狼。
「血出てるよ! 痛そう……。」
「痛くねえ。」
「そうだ!! わたし、絆創膏と包帯持ってるよ!」
「は?」
「お母さんが、怪我をしたとき使いなさいって、いつも鞄に入れてくれてるの!」
少女の姿は、黄色の帽子に真っ白なワンピース。
身長の低さと言葉遣いからして、まだ小学校低学年のようだ。
「あ、でもその前に消毒? をしないとダメなんだよね……。」
それに比べて、狼の方は