【完】狼様の最愛。
「これも全て、人間のせいだ……。」
人間を嫌う、一匹の狼。
彼の名はマリン。
「あーー!! 狼さん! 動いちゃダメだってば!!」
動物を愛す、一人の少女。
彼女の名は最愛。
最愛は逆さにした帽子いっぱいに入っている水を、ゆっくりとマリンの足へかけた。
「もう! 血出てるんだから安静にして!!」
「っ、誰が人間の言うことなんか……!」
「今だけでいいから!! 足が治ったら無視してもいい! わたしを食べてもいいから!」
“だからお願い、わたしに足を治させて”
マリンは目を丸くした。
自分の言葉が通じていること。