【完】狼様の最愛。
いつかは、自分達には届かない人間の元へと帰っていく。
そう思いながらもアオイは、明日も最愛が来ないかと期待するのを止めることが出来なかった。
最愛は山から下りていき、アオイは麓からその光景を見ていた。
下を向いて歩く最愛に、頭の悪そうな人間の子供が数人、近づいていく。
「…………。」
アオイは落胆した。
改めて、最愛は人間なんだと実感させられたのだ。
やっぱり人と動物は分かり合えない。
人は人と、動物は動物とつるむべきなんだ……。
そう落ち込むアオイとは打って変わり、最愛の方は焦っていた。
最愛はこの夏休みの間だけ村に遊びにきた、都会の子供。
地元の子供からしたら、何かとセレブ気取ってみえる“都会”と言うのが気にくわず。
何かと最愛に突っ掛かって来るのだった。