【完】狼様の最愛。
「あ、アオイ様……。」
熊が小さく声を出した。
やっぱり、あの人が“アオイ様”なんだ……。
頬が、熱を持ってる気がした。
「……マンタ、そこをどけ。」
どうやら、熊の名前は“マンタ”らしい。
吹きそうになったのを堪えて、私は目の前の背中にしがみついた。
「駄目! マンタ動かないで!」
「はぁっ!? ちょっ、何してんだよ人間!!」
マンタが慌てて私を引き剥がそうとするが、私は離れない。
……だって、あんな綺麗な人、初めて見た……。