【完】狼様の最愛。
「早く村から出ていけ!」
今日もまた、最愛は突き飛ばされる。
いつものことだった。
しかし今日はその光景を、アオイが見ていた。
だけどもそんなアオイの視線には気づかず、最愛は黙って時が過ぎるのを待つ。
アオイの腸は、煮え繰り返っていた。
「何だ、あの人間……居場所が無いのか。」
フッと微笑むも、アオイの眼は笑ってはいない。
完治したといえど、安静にしとくべき足を気遣うこともなくアオイはそこから飛び降り、最愛の前へと立ちはだかった。
狼を眼にした子供達は……
「で、出たぁあああ!!」
と叫んで、村へと帰っていった。