【完】狼様の最愛。
動物達が息を飲んだのがわかった。
「すまなかった。」
土下座と呼ばれるその体勢のまま、はっきりとした声でその言葉を放つ。
周りは反応しない。
いや、反応出来ないのかも知れない。
この山に住む動物達にとって人間は、あんまり良いものと思われていないから。
きっと、戸惑ってるんだ。
それを知らない中本さんは冷や汗をかいて、頭を下げ続ける。
「アオイ……。」
中本さんの謝罪が本気なことがわかった私は、アオイの服の袖を引いた。
チラッと私を見て、小さく溜息をついたアオイ。