【完】狼様の最愛。
「アオイ!! どこに行くの!?」
「麓!」
麓?
麓って、この前行ったあの場所……?
いつしか見せてもらった、あの夕日を思い出す。
でも今はもう日が沈んでいて、夕日なんて見れないのに……。
朝日どころか夜は始まったばかりだから、今見えるとすれば……。
走るアオイの後ろを、何だか新鮮な気持ちで後を追う。
麓にはアオイと行ったきりで、それ以降は一度来てないけれど、所々記憶に残っている道筋。
あの時は、まさかアオイが動物とは思わなかった。
記憶を失ってさえいなかったら、直ぐわかったんだろうけど……。
何だかちょっと、悔しい気持ち。