【完】狼様の最愛。
私の心は感動しまくっていて、
“綺麗”とか“凄い”とか、言いたいことはいっぱいあるのに。
言葉が出なかった。
声すら出ない。
ただまるで、今まで見て来た夜空が偽物のように感じてしまう。
初めて、本当の夜空を目にした気分になった。
「……気に入ったか?」
「うん……ここ、好き。」
考えもしないで言った言葉“好き”。
言った途端に、私の手を握るアオイの手に力が込められた。
「アオイ?」
俯いて、何も言わないアオイ。
私が顔を覗き込めば、アオイは隠すように顔を逸らした。