【完】狼様の最愛。
そのまま、私を抱えて切り株に座ったアオイ様。
さっきのマンタの言葉を思い出した。
「は……? いや……そこは、アオイ様とアイツしか駄目……だから……。」
そっか……。
此処はアオイ様と、誰かの特等席なんだ……。
何故か胸が少し痛んだ。
「……俺を、覚えているか。」
その時、アオイ様が小さく呟いた。
小さくて聞こえにくかったけど、何とか聞こえた声。
透き通るような、けれど低い声だった。
私、アオイ様と知り合いだったの……?
そう思いながら、軽く首を振った。