【完】狼様の最愛。
side 山添最愛(やまぞえ もあ)
――……何年ぶりかな。
揺れる車の中、そんな事を考えた。
病院で眼を覚ました私に告げられたのは、お母さんの死だった。
医者には、私がもう二週間も眠っていた事を聞かされて。
お祖母ちゃんに、私はこれからお祖母ちゃんの元で暮らす事を聞かされた。
上手く理解も出来ないまま、退院や引っ越しの準備が進められて。
ちゃんとした理解が出来たのは昨日。
お母さんの遺骨を見せられてからだった。
動かなくなったお母さん。
お母さんは唯一、私を認めてくれた人間だったのに……。