【完】狼様の最愛。
その時、やっと放心から戻って来たマンタが立ち上がった。
茶色い毛並みについた砂などを、叩いて落とす。
そしてそのあと、マンタは私を指差して言った。
「アオイ様……コイツが、八年前の最愛なのです……?」
まるで信じられないという顔で私を指差す。
……いや、相手は動物だから詳しい表情はわからないけど……。
口調からして、私のことが信じられないのは一発でわかった。
「……そうだ。」
そしてアオイのその答えに、少しばかりマンタの肩が下がった。
……本当に失礼、この熊。