【完】狼様の最愛。
そう思うと、気づけばこっちの姿になっていた。
日本では数少ない俺の一族では、極まれに強い力を持って生まれてくる場合がある。
俺がその中の一人。
強い力を持って生まれた奴は、昼の間だけ、人間になれる。
俺の両親はその力を異質と嫌い、俺がまだ小さい時に俺を捨てた。
俺も、この力が嫌いだった。
何が強い力なんだ。
俺から全てを奪うだけの力。
これを「強い力」と言うならば、俺は要らない。
そう思っていたこの力に、今は少しだけ、感謝している。
こんな力でも役に立つことがあるのだと、最愛に再会して知った。