【完】狼様の最愛。
俺を俺の両親みたく、異質と蔑まないだろうか。
「……怖いんだ。」
後ろに佇むヒルナとマンタに聞こえるように、ソッと呟いた。
俺はこの山の主。
俺にそんな気は無いけど、山のみんなは勝手にそう言う。
俺も、この山の動物達は俺が守ろうと思ってる。
だけど俺は、強くも何ともない。
ただの狼だ。
好きな女一人で、こんなにも俺は弱くなる。
「……最愛は、アオイ様を蔑んだりしません。」
後ろでヒルナが、力強い声で言った。