【完】狼様の最愛。
side 山添最愛
あれから毎日、私はあの山に通っている。
お祖母ちゃんとお祖父ちゃんには、毎日どこに行ってるのかと問い質されはしたけど、私は決して口を割らなかった。
山のみんなは、優しい。
私はみんなを忘れたのに、みんなは暖かく私を迎えてくれる。
お母さんは死んでしまった。
私を愛してくれる、唯一の人間はもういない。
――……だけど、
だけど、私は寂しくない。
家族じゃなくても、
友達にはなれなくても、
例え人じゃなくても、
私には、“仲間”がいる。
彼らは私にとって、大事な“仲間”。