【完】狼様の最愛。
それだけで、十分だと思った。
例えそれが逃げているということだったとしても。
――午前八時
朝食を早くに終えた私は、今日も家を飛び出した。
お祖母ちゃんが後ろで何かを叫んでいた気もするけど、私は耳を傾けなかった。
「マンタ!」
森に入ってすぐ眼に入ったのは、マンタの後ろ姿。
やっぱり熊なだけにあって、大きくて目立つね。
「おぉ早いな、最愛。」
「おはよう、マンタ。」
「はよ。アオイ様なら、もうあそこで待ってるぜ。」
「ありがとう。」
「おう。」