【完】狼様の最愛。
大きな木々が私とアオイを囲むように生えているせいで、日が沈んだのかどうかも分からない。
ただ辺りは、真っ暗って言っていいほど暗い。
と、そのとき突然、木々の隙間から眩しい光が見えた。
「……着いた。」
アオイが小さく声に出す。
そこは広場から大分離れた、山の麓。
山の入口より山の頂上のが近くて、そこから覗いた赤坂村は、まるでおもちゃのように小さかった。
「最愛。」
アオイに呼ばれ、顔を上げる。
瞬間、視界に入ったのは
赤く空を描く夕日。
「綺麗……。」