【完】狼様の最愛。








気づかぬ内に、目から涙がこぼれ落ちていた。





『「素敵な、由来だね。」』





薄い記憶の中、私はあの時と同じ言葉を口にする。





「俺も、そう思う。」






お母さん



お母さん、



聞こえてますか?





お母さんが死んで、とても悲しかった。



今でも悲しい、お母さんに会いたい。





けれど不思議と、寂しくはないの。





私は静寂でも、孤独でもない。





お母さん、見えてる?



私の、隣の人が。



私が唯一、心を許す人間です。





彼と、森の動物達、



みんながいるから、私は寂しくない。



これは逃げなんかじゃない。


本当に、心から思う。








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