【完】狼様の最愛。
4.過去を越える信頼
side アオイ
「はっ、はぁ……っ。」
時間切れだと分かった俺は、最愛を置いて、山の中を駆け抜ける。
マンタが引き止めてるらしく、最愛は追って来ない。
もっと走って、出来るだけ最愛から離れたかったが。
どうやら俺の体は限界ならしく、ある程度走ったところで、俺の足は崩れた。
「くそっ……!」
まるでそれを見計らったように、俺の目の前をヒルナが飛んだ。
「アオイ様……。」
夕日が沈む。
体からの煙は、人間の姿を保つタイムリミットのようなもの。