【完】狼様の最愛。
「遥って呼んでいいから。俺苗字嫌いだし、苗字呼び禁止な!」
やっぱり珍しい上に、食べ物の名前ってこともあって、遥も嫌いなみたい。
「私は山添最愛。山に添えるで、最もな愛って書くの。」
遥がやったように、手の平に指で漢字を書くと、遥はなるほどなるほどとでも言うように頷いてみせた。
「珍しい名前だな。」
遥に言われたくない。
「にしても、さっきの言葉どういうこと? お前も、って……遥も転入生?」
「まさか。俺は昔からこの丘川一筋!」
じゃあ、なんで?
そう聞きたいのがわかったのか、遥は正門を指差して教えてくれた。