【完】狼様の最愛。
私には昔から、友達というものがいなかった。
仲の良い友達も、仲の悪い友達も。
それには一つ、理由がある。
その理由が、これ。
――私が、動物と話せるから。
物心着いたとき、私は既に動物の言葉がわかっていた。
犬が鳴けば、自然と頭の中に人間の言葉で声が響く。
「ワン!」って鳴いてるのに、確かにそう聞こえるのに。
耳に届いた後は、頭で人間の言葉に変換される。
まだ子供で無邪気だった私は、それでたくさんの動物と触れ合った。
周りの人は、子供の遊びだと思って笑顔で見守ってくれていた。