風が吹いている
鈴虫
姿なくリリリと鳴ける鈴虫に楽平安の詩歌を詠めり



繰り返し赤子をあやし諭すごと老いたる母の我が儘なだむ


わたくしを私と呼ぶわたくしは電話の前のよそ行きの声


―――

鈴虫の調べが心地好く響く朝
夜には、更に深く月明かりの下に奏でられる楽団のごと……胸に染み入る。


昼間の様々な出来事を洗い流すような、透き通る音色。


平安は僅かな時間しかないものかと……。


老いると、人はあーも人でなくなるものかと


幼子や赤子の方が知恵を持たぬだけ、マシかもしれず


時間が3倍ほしい



わたくしは私ではなく
わたしでもなくなりそうで


バカやろーーっ!!

思い切り叫んで暴れてみたき、心渇けり


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