本当は怖い愛とロマンス
俺は、孝之の病室に写真を握りしめたまま戻ると、奈緒はあのままここには戻っていないようで、俺にとっては好都合だった。
ベッドで寝ていた孝之の目の前にくしゃくしゃになった写真を放り投げた。
もう、どうなっても構わないと思った。
「孝之、言わなくても、もう、全部わかってんだろ?俺がお前に何が言いたいか。お前、ガキの頃から、俺の気持ち、俺が言う前に、最初から全部解ってたもんなぁ。」
孝之は、何も言わずに、じっと、ぐしゃぐしゃになった写真を手にとって、見つめながら、唇を強く噛み締めていた。
「全部、もう、気づいてんだよ!あれ、なんなんだよ?最初に、渚を自分の店に置くように提案した時も、かばった時もおかしいとおもったんだ!俺の気持ちに気付いた時は、さぞ、優越感だったろうよ!恋人の隼人が現れた途端、掌返したように、ビビって、奈緒にまで、そんな写真見せつけて、バラしやがって!何も本当の事知らない馬鹿な俺のままで騙されてると思ってたか?」
孝之は、持っていた写真をテーブルの上に置くと、ため息をついて言った。
「そっか…」
俺は、写真を突きつけられても何一つ否定をしない孝之の態度に、さらに怒りが込み上げて、睨みつけて、胸倉を掴んでいた。
「佳祐の気が済むまで殴ってくれ。」
孝之は覚悟したように、ゆっくりと目を閉じた。
「ああ!望みどおり、殴ってやるよ。」
でも、俺は、掴んだ孝之の身体をベッドに放り投げると、殴る事が出来ずに、孝之がテーブルに置いていた写真を粉々に破り捨てた。
すると、孝之は、泣きながら、呟いた。
「悪かった」
「悪かったで済むかよ。俺は、全部、見なかった事にして、知らないふりして、許すつもりだったんだ…なのに…なんでだよ?」
「俺は…」
「俺、お前が、何、考えてるのかさっぱり解らないよ。」
その言葉に、孝之は、泣きながら、病室から出て行こうとすると、左手で俺の腕にすがりついていた。
「佳祐…聞いてくれ…俺」
「もう、やめろ。お前の話なんて聞きたくない。今の俺は、お前が何言っても信じれる自信ないよ。俺は、お前みたいに平気な顔で嘘なんかつけないんだよ。」
俺は、孝之の腕を振り払うと、これ以上孝之と一緒にいたくなくて、そのまま、病室をでていった。
殺したいほど湧き上がる嫉妬と怒りで、どうにかなりそうだったからだ。
でも、俺が孝之を殴らなかったのは、隼人のせいで怪我をした姿と自分の店をぐちゃぐちゃの状態にされ、しばらく仕事を奪われた孝之を思うと、心の中で躊躇する気持ちが生まれ、殴れなかった。
その後、怒りの矛先をどこに向けたらいいのか、俺は見失ったんだ。
煮え切れない気持ちのまま、病院から出ると、そのまま、大通りに出て、当てもなく歩き続け、歩き疲れた頃、その時、目の前に偶然あった一件の「sometime」というバーに足を踏み入れた。
店に入るなり、俺を見て、ざわつく店内と突き刺さる視線。
俺は、そんな反応を気にもせずに、直ぐに前にいたバーテンダーに酒を注文した。
「バーボンをロックで。」
そう言った先から、横に俺と同い年くらいの髪の長い綺麗な女がやってきて、バーテンダーより先に俺が注文した酒を目の前に置いた。
「これ、良ければ、私の奢りです。」
俺は、何の抵抗もなく、その女の最初の好意を受け取った。
「どうも。」
そのあと、何度も酒を奢ってくれ、女は話しに夢中になり、俺は、その話しに上の空で必死に酒を飲んだ。
すると、だんだん、眠気が襲って来るのが解った。
女は、その様子を笑顔で見ながら、言った。
「でも、本当そっくり。歌手の本木佳祐に顔が。良かったら…」
そう言って、女が俺に身体を密着させ、肩に手を置いた瞬間、その女越しに店の入り口の様子が目にはいった。
ドアが開いて、数人入ってきた客の一人が、西岡だった。
そして、俺とバッチリと目が合った西岡は、俺の姿に気づいて、笑顔で手を振ったが、いつもと違う様子に違和感を覚えたようだった。
やけに親密に話している女の存在に気付き、相手の顔を見ようと、自然に俺の背後に回りこんで、女の顔を確認していた。
すると、確認した途端、西岡は、急に女の前に立ちはだかるように、俺の前に背を向けて立ち、完全に女との接触をシャットアウトしてから、女を睨みつけ、怒り口調で、こう言った。
「悪いけどさ、あんた、何、俺の連れに声かけてくれてんの?散れよ。目障りだから。」
「なんなのよ。邪魔しないでくれる?私は、この人と今から用があるのよ。」
女は、西岡の気迫にたじろんでいたが、諦めまいと、俺の手を掴んで、店の外に連れ出そうとしていた。
「そんなの、知らないんだよ。だって、俺、あんたみたいな性格ブスな女、芸術的じゃなくて、画にならないし、嫌いなんだよね。誘惑するなら、もうちょっとマシなやり方あんだろ。」
西岡が女を突き飛ばし、俺の腕の間に手を回すと、笑顔で言った。
「言っとくけど、優しくしてるうちに諦めた方がいいよ。俺、あんたの事も、あんたのお友達の事も、よーく知ってるからさ。今度、こんな汚い真似、見つけたら、あんたの事、殺すよ。俺、こう見えて、躊躇ないからさ。」
女は、その言葉に、舌打ちして、逃げるように店を出て行った。
それを見送った後、蕁麻疹が出始めた腕を掻き毟りながら、西岡は、俺の手から腕を離して、横に座ると、女から貰った酒のグラスを取り上げた。
「本木君、これ、何杯飲んだ?」
「多分、五杯くらいじゃないですか…なんか、俺、すっごい、眠くて。」
俺は、テーブルの上で腕を枕に、必死に眠気と戦っていた。
「様子がおかしいと思ったら、やっぱりね。本木君、睡眠薬入りの酒、飲まされたんだよ。あの女、俺の業界じゃ有名な売名女優だったんだよ。そんなんだから、仕事も回ってこなくて、とうとう干されて、引退。その後、ヤクザみたいな奴らとつるんで、整形繰り返して、有名人見つけると、どんな手使ってもモノにして、週刊誌にネタうったり、相手の事務所脅迫して、金貰ってるって知り合いから聞いたんだよ。あの女と噂になったら、最後、徹底的に骨の髄までしゃぶられる。俺が来てなかったら、あの女の餌食になってたとこだよ。間一髪セーフだったね。」
そう言って、笑いながら、バーテンダーに水と自分の酒を頼むと、俺の横に、そっと水の入ったグラスを置いた。
「俺、別に、もう、どうなってもいいやって思っちゃったんですよ。最近、最悪な事ばっかりで、さっきも孝之との事でムシャクシャして。」
西岡は、その言葉に、さっき受け取った酒のグラスを回して、氷が溶ける様子を眺めていた。
「ふーん、宇野君と喧嘩でもしたの?ただの喧嘩にしちゃ、随分、投げやりじゃない?」
「俺、ずっと騙されてたんですよ。孝之に。あいつ、俺の気持ち知ってて、俺が気になってた女とできてたんですよ。さっき知り合いの女に写真見せられて。親友だと思ってたのは、俺だけだったんですよ。」
西岡は、鋭い目つきの俺を横目に、酒を一口のんだ。
「様子が変わったと思ったのは、荒れてただけじゃなかった訳ね。まさか、その気になってた女って、本木君が俺から庇った面接に来てたあの渚って女の子?」
俺は、西岡の言葉に、横に置いてあった水を一気に飲み干した。
「図星だった?本木君って、本当、解りやすいから、見てて、飽きないね。って事は、俺が本木君に聞いた質問って、結構、本気だったの?あの子が、本木君の彼女だっていうの。」
「彼女じゃありませんよ。俺が一方的に、渚を好きになっただけです。渚には、恋人だっていて、俺が好きな事だって知りません。姿も消して、居所だって解らないし。でも、こんな事がなければ、孝之との友情と恋愛を天秤にかけた時、孝之との友情を選んだと思うんですよ。でも、孝之は、俺をそんな風に同じ気持ちで見てなかったんだって思うと、殺したいほど、ムカついてきて。結局、長い時間かけて築いてきた信頼関係なんて、恋愛が絡むと一瞬で効力なんてまるでなくなるんですよ。」
「そっか…だから、宇野君をね。面白いなー俺が知らない間にそんな展開になってたなんて。」
真剣な俺を他所に、西岡は、大笑いしていた。
「笑いごとじゃないでしょ?苦しんでる俺がそんな面白いですか?」
俺は、テーブルを握りしめた拳で思いっきり叩いて、感情を露わにした。
「ごめん。つい…でもさ、ここからは、俺の予想だけど、本木君が今まで見た事が全て、真実で正しい事だって自信もてる?」
「どういう事ですか?」
俺は、西岡の言葉に、全ての空気が一変した。
「本木君、本当の真実は、目に見えているものだけじゃないって事もたくさんあるよ。俺が、一番そう感じるのは、人が誰かを好きになった時だ。だって、好きな人以外、何も見えなくなって、今まで1人で見ていた全てが、好きな人を通して見えるようになる。レンズのフィルターみたいなものさ。美しく見えてたものは、実は、フィルターを外したら、全く別のモノだったなんて事は、結構ありえる話だよ。一種の催眠術みたいなものと一緒だよ。」
西岡は、にっこり笑ってそう言うと、再び、酒を一口のんだ。
ベッドで寝ていた孝之の目の前にくしゃくしゃになった写真を放り投げた。
もう、どうなっても構わないと思った。
「孝之、言わなくても、もう、全部わかってんだろ?俺がお前に何が言いたいか。お前、ガキの頃から、俺の気持ち、俺が言う前に、最初から全部解ってたもんなぁ。」
孝之は、何も言わずに、じっと、ぐしゃぐしゃになった写真を手にとって、見つめながら、唇を強く噛み締めていた。
「全部、もう、気づいてんだよ!あれ、なんなんだよ?最初に、渚を自分の店に置くように提案した時も、かばった時もおかしいとおもったんだ!俺の気持ちに気付いた時は、さぞ、優越感だったろうよ!恋人の隼人が現れた途端、掌返したように、ビビって、奈緒にまで、そんな写真見せつけて、バラしやがって!何も本当の事知らない馬鹿な俺のままで騙されてると思ってたか?」
孝之は、持っていた写真をテーブルの上に置くと、ため息をついて言った。
「そっか…」
俺は、写真を突きつけられても何一つ否定をしない孝之の態度に、さらに怒りが込み上げて、睨みつけて、胸倉を掴んでいた。
「佳祐の気が済むまで殴ってくれ。」
孝之は覚悟したように、ゆっくりと目を閉じた。
「ああ!望みどおり、殴ってやるよ。」
でも、俺は、掴んだ孝之の身体をベッドに放り投げると、殴る事が出来ずに、孝之がテーブルに置いていた写真を粉々に破り捨てた。
すると、孝之は、泣きながら、呟いた。
「悪かった」
「悪かったで済むかよ。俺は、全部、見なかった事にして、知らないふりして、許すつもりだったんだ…なのに…なんでだよ?」
「俺は…」
「俺、お前が、何、考えてるのかさっぱり解らないよ。」
その言葉に、孝之は、泣きながら、病室から出て行こうとすると、左手で俺の腕にすがりついていた。
「佳祐…聞いてくれ…俺」
「もう、やめろ。お前の話なんて聞きたくない。今の俺は、お前が何言っても信じれる自信ないよ。俺は、お前みたいに平気な顔で嘘なんかつけないんだよ。」
俺は、孝之の腕を振り払うと、これ以上孝之と一緒にいたくなくて、そのまま、病室をでていった。
殺したいほど湧き上がる嫉妬と怒りで、どうにかなりそうだったからだ。
でも、俺が孝之を殴らなかったのは、隼人のせいで怪我をした姿と自分の店をぐちゃぐちゃの状態にされ、しばらく仕事を奪われた孝之を思うと、心の中で躊躇する気持ちが生まれ、殴れなかった。
その後、怒りの矛先をどこに向けたらいいのか、俺は見失ったんだ。
煮え切れない気持ちのまま、病院から出ると、そのまま、大通りに出て、当てもなく歩き続け、歩き疲れた頃、その時、目の前に偶然あった一件の「sometime」というバーに足を踏み入れた。
店に入るなり、俺を見て、ざわつく店内と突き刺さる視線。
俺は、そんな反応を気にもせずに、直ぐに前にいたバーテンダーに酒を注文した。
「バーボンをロックで。」
そう言った先から、横に俺と同い年くらいの髪の長い綺麗な女がやってきて、バーテンダーより先に俺が注文した酒を目の前に置いた。
「これ、良ければ、私の奢りです。」
俺は、何の抵抗もなく、その女の最初の好意を受け取った。
「どうも。」
そのあと、何度も酒を奢ってくれ、女は話しに夢中になり、俺は、その話しに上の空で必死に酒を飲んだ。
すると、だんだん、眠気が襲って来るのが解った。
女は、その様子を笑顔で見ながら、言った。
「でも、本当そっくり。歌手の本木佳祐に顔が。良かったら…」
そう言って、女が俺に身体を密着させ、肩に手を置いた瞬間、その女越しに店の入り口の様子が目にはいった。
ドアが開いて、数人入ってきた客の一人が、西岡だった。
そして、俺とバッチリと目が合った西岡は、俺の姿に気づいて、笑顔で手を振ったが、いつもと違う様子に違和感を覚えたようだった。
やけに親密に話している女の存在に気付き、相手の顔を見ようと、自然に俺の背後に回りこんで、女の顔を確認していた。
すると、確認した途端、西岡は、急に女の前に立ちはだかるように、俺の前に背を向けて立ち、完全に女との接触をシャットアウトしてから、女を睨みつけ、怒り口調で、こう言った。
「悪いけどさ、あんた、何、俺の連れに声かけてくれてんの?散れよ。目障りだから。」
「なんなのよ。邪魔しないでくれる?私は、この人と今から用があるのよ。」
女は、西岡の気迫にたじろんでいたが、諦めまいと、俺の手を掴んで、店の外に連れ出そうとしていた。
「そんなの、知らないんだよ。だって、俺、あんたみたいな性格ブスな女、芸術的じゃなくて、画にならないし、嫌いなんだよね。誘惑するなら、もうちょっとマシなやり方あんだろ。」
西岡が女を突き飛ばし、俺の腕の間に手を回すと、笑顔で言った。
「言っとくけど、優しくしてるうちに諦めた方がいいよ。俺、あんたの事も、あんたのお友達の事も、よーく知ってるからさ。今度、こんな汚い真似、見つけたら、あんたの事、殺すよ。俺、こう見えて、躊躇ないからさ。」
女は、その言葉に、舌打ちして、逃げるように店を出て行った。
それを見送った後、蕁麻疹が出始めた腕を掻き毟りながら、西岡は、俺の手から腕を離して、横に座ると、女から貰った酒のグラスを取り上げた。
「本木君、これ、何杯飲んだ?」
「多分、五杯くらいじゃないですか…なんか、俺、すっごい、眠くて。」
俺は、テーブルの上で腕を枕に、必死に眠気と戦っていた。
「様子がおかしいと思ったら、やっぱりね。本木君、睡眠薬入りの酒、飲まされたんだよ。あの女、俺の業界じゃ有名な売名女優だったんだよ。そんなんだから、仕事も回ってこなくて、とうとう干されて、引退。その後、ヤクザみたいな奴らとつるんで、整形繰り返して、有名人見つけると、どんな手使ってもモノにして、週刊誌にネタうったり、相手の事務所脅迫して、金貰ってるって知り合いから聞いたんだよ。あの女と噂になったら、最後、徹底的に骨の髄までしゃぶられる。俺が来てなかったら、あの女の餌食になってたとこだよ。間一髪セーフだったね。」
そう言って、笑いながら、バーテンダーに水と自分の酒を頼むと、俺の横に、そっと水の入ったグラスを置いた。
「俺、別に、もう、どうなってもいいやって思っちゃったんですよ。最近、最悪な事ばっかりで、さっきも孝之との事でムシャクシャして。」
西岡は、その言葉に、さっき受け取った酒のグラスを回して、氷が溶ける様子を眺めていた。
「ふーん、宇野君と喧嘩でもしたの?ただの喧嘩にしちゃ、随分、投げやりじゃない?」
「俺、ずっと騙されてたんですよ。孝之に。あいつ、俺の気持ち知ってて、俺が気になってた女とできてたんですよ。さっき知り合いの女に写真見せられて。親友だと思ってたのは、俺だけだったんですよ。」
西岡は、鋭い目つきの俺を横目に、酒を一口のんだ。
「様子が変わったと思ったのは、荒れてただけじゃなかった訳ね。まさか、その気になってた女って、本木君が俺から庇った面接に来てたあの渚って女の子?」
俺は、西岡の言葉に、横に置いてあった水を一気に飲み干した。
「図星だった?本木君って、本当、解りやすいから、見てて、飽きないね。って事は、俺が本木君に聞いた質問って、結構、本気だったの?あの子が、本木君の彼女だっていうの。」
「彼女じゃありませんよ。俺が一方的に、渚を好きになっただけです。渚には、恋人だっていて、俺が好きな事だって知りません。姿も消して、居所だって解らないし。でも、こんな事がなければ、孝之との友情と恋愛を天秤にかけた時、孝之との友情を選んだと思うんですよ。でも、孝之は、俺をそんな風に同じ気持ちで見てなかったんだって思うと、殺したいほど、ムカついてきて。結局、長い時間かけて築いてきた信頼関係なんて、恋愛が絡むと一瞬で効力なんてまるでなくなるんですよ。」
「そっか…だから、宇野君をね。面白いなー俺が知らない間にそんな展開になってたなんて。」
真剣な俺を他所に、西岡は、大笑いしていた。
「笑いごとじゃないでしょ?苦しんでる俺がそんな面白いですか?」
俺は、テーブルを握りしめた拳で思いっきり叩いて、感情を露わにした。
「ごめん。つい…でもさ、ここからは、俺の予想だけど、本木君が今まで見た事が全て、真実で正しい事だって自信もてる?」
「どういう事ですか?」
俺は、西岡の言葉に、全ての空気が一変した。
「本木君、本当の真実は、目に見えているものだけじゃないって事もたくさんあるよ。俺が、一番そう感じるのは、人が誰かを好きになった時だ。だって、好きな人以外、何も見えなくなって、今まで1人で見ていた全てが、好きな人を通して見えるようになる。レンズのフィルターみたいなものさ。美しく見えてたものは、実は、フィルターを外したら、全く別のモノだったなんて事は、結構ありえる話だよ。一種の催眠術みたいなものと一緒だよ。」
西岡は、にっこり笑ってそう言うと、再び、酒を一口のんだ。