本当は怖い愛とロマンス
「本木さん?」
電話口でずっと黙り込んだままの俺に龍之介は心配した声で言った。
「大丈夫ですか?今から僕がそちらに…」
俺は何も考えられず、頭が真っ白で心を落ち着かせるためにタバコに手を伸ばした。
「大丈夫だ…また連絡する。」
タバコに火をつけ煙を吐きながら、そう言った。
「解りました…」
そう言って電話を切った後、直ぐに俺は棚にあったウィスキーの瓶を取るとグラスになみなみ注いで一気に飲み干した。
喉が焼けるようにピリピりと痛む。
本当の真実を知る度に俺は、ますますが恵里奈の事が解らなくなる。
彼女を解りたいと思えば思うほど、俺はどうしようもなく溢れ出す恵里奈への失望感や怒りを酒を流し込み何度も誤魔化した。
しばらくして、意識が朦朧とする中、恵里奈がいるベッドルームのドアを開けた。
真っ暗な中、眠っていた恵里奈を起こすように俺は乱暴に照明のスイッチを入れた。
泣きはらしたかの様な腫れた目を擦り、眩しさに目を細めた恵里奈は怪訝そうに俺を見た。
酒の勢いもあってか、俺はその彼女の目を見た時、ずっと抑制していた失望感と怒りが同時に溢れ出した。
「お前は誰だ?」
その俺の言葉にびっくりした表情で彼女は言った。
「何言ってるんですか?私は…」
俺は、喋る彼女の口を手で塞ぎこみ言った。
「谷垣さんに娘はいないそうだ…もう、嘘にはうんざりだ!名前も素性も何もかも聞きたくない!」
恵里奈は、俺の目をじっと見つめて涙ぐんだ。
「頼む…」
俺は弱い人間だ。
俺にはこれ以上、恵里奈の口から出てくる言葉を信じてやれそうにない。
きっと一緒にいても、疑いの目を向けたまま彼女を責める言葉しか今の俺には浮かばなかった。
「もう、俺を解放してくれ。」
彼女は、俺の手をそっと下ろすと言った。
「ごめんなさい…」
ただ泣きながら謝り続けていた。
好きだという気持ちも何もかも、嘘だったのか?そんな言葉を聞き返す事さえも俺は彼女にはしなかった。
電話口でずっと黙り込んだままの俺に龍之介は心配した声で言った。
「大丈夫ですか?今から僕がそちらに…」
俺は何も考えられず、頭が真っ白で心を落ち着かせるためにタバコに手を伸ばした。
「大丈夫だ…また連絡する。」
タバコに火をつけ煙を吐きながら、そう言った。
「解りました…」
そう言って電話を切った後、直ぐに俺は棚にあったウィスキーの瓶を取るとグラスになみなみ注いで一気に飲み干した。
喉が焼けるようにピリピりと痛む。
本当の真実を知る度に俺は、ますますが恵里奈の事が解らなくなる。
彼女を解りたいと思えば思うほど、俺はどうしようもなく溢れ出す恵里奈への失望感や怒りを酒を流し込み何度も誤魔化した。
しばらくして、意識が朦朧とする中、恵里奈がいるベッドルームのドアを開けた。
真っ暗な中、眠っていた恵里奈を起こすように俺は乱暴に照明のスイッチを入れた。
泣きはらしたかの様な腫れた目を擦り、眩しさに目を細めた恵里奈は怪訝そうに俺を見た。
酒の勢いもあってか、俺はその彼女の目を見た時、ずっと抑制していた失望感と怒りが同時に溢れ出した。
「お前は誰だ?」
その俺の言葉にびっくりした表情で彼女は言った。
「何言ってるんですか?私は…」
俺は、喋る彼女の口を手で塞ぎこみ言った。
「谷垣さんに娘はいないそうだ…もう、嘘にはうんざりだ!名前も素性も何もかも聞きたくない!」
恵里奈は、俺の目をじっと見つめて涙ぐんだ。
「頼む…」
俺は弱い人間だ。
俺にはこれ以上、恵里奈の口から出てくる言葉を信じてやれそうにない。
きっと一緒にいても、疑いの目を向けたまま彼女を責める言葉しか今の俺には浮かばなかった。
「もう、俺を解放してくれ。」
彼女は、俺の手をそっと下ろすと言った。
「ごめんなさい…」
ただ泣きながら謝り続けていた。
好きだという気持ちも何もかも、嘘だったのか?そんな言葉を聞き返す事さえも俺は彼女にはしなかった。