彼と私の問題点を考える
光輝の歪んだ表情はすぐに真顔になって、目の前に置かれた紙袋に手を伸ばしてそれを自分の方へと引き寄せた。


「……まあ、そうだな」


「うん?」


「結構長く付き合ってたつもりだったけど、それだけだったのかもな」


一瞬、光輝が何を言ってるのか分からなくてその言葉の真意を探した。


長く付き合ってたつもりだったけどそれだけだった。


私たちの今までの付き合っていた期間を一言で表すのならそういうことなんだと思う。


妙に納得してしまっている自分もいて、ただ静かに次の言葉を待った。


その間にココアの入ったグラスを口もとへ運んで一口だけそれを飲むと、テーブルの端にグラスが寄せられた。


「じゃあ俺帰るから」


あまりにそっけない返事だった。


長く付き合っていた期間がそれだけだったとしても、その期間がなくなったわけじゃない。


紙袋を手にして席を立つ彼をどこか遠くに感じた。

 
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