彼と私の問題点を考える
赤茶のレンガと白の壁を貴重とした2階建てのアパートの全部で8部屋ある内の1つ。


アパートにある唯一の階段を上った2階の一番手前の部屋が私の部屋。


“広瀬”のネームプレートも少し前までは新鮮に感じていたけど、それも1人暮らしの期間が長くなってくると見向きもしなくなった。


「ただいま」


鍵を開けて疲れきった声で呟いてヒールを脱ぎ捨てた。


1Kの造りのこの部屋は、入るとまずキッチンがある



キッチンと部屋を仕切るドアがあって、開きっぱなしになっていたそれを開けることなく通過すると10畳ほどの洋室がある。


この広さや駅の近さからして家賃も安めだし、外装も好みだったから一目見てこのアパートに入居を決めた。


こうして週末になるとまずはベッドに横になったまま溜めていた息を存分に吐き出す。


 
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