彼と私の問題点を考える
「こちらこそごめん、今の話忘れて…」


ああ、本当に今すぐ帰りたい。


年下相手に焦って恥ずかしい話までして、きっと彼も困ってる。


ちょうど視線の先に私が乗るはずのバス停が見えてくる。仕方ない。気まずいけどこのまま別れた方がお互いにきっといいはず。


「私、もうここでー…」


「忘れません」


「……はい?」


「俺、運命だって思ったんです」


夏が終わり、やっと涼しくなってきた夕方の住宅街の中、なぜか彼だけは顔が赤く、暑いのかワイシャツの首元を手持ち無沙汰にいじる。


運命なんて言葉、私が学生の頃に使った記憶なんてない。


彼は真剣に、だけど少し照れくさそうに続ける。


「ずっと綺麗な人だなって気になっていた人に彼氏がいて、でも今日こうして知り合えて、しかもフリーだって聞いて、舞い上がってるんです」


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