私の初恋は人気者の君。
階段を一段飛ばしであがって
教室がある四階を目指す。
やっと着いて教室の方に行くと
教室に背を向けて壁にすがって
座っている本田くんがいた。
「ほ、本田くん?なにしてるの?」
本田くんは私に気づくと
悲しい顔をして俯く。
「…あいつが泣いてるんだ」
「え…?」
あいつって…桐谷くん?
私は教室の中をドアの窓から覗いた。
「桐谷くん…」
桐谷くんは一番後ろの壁にすがって
座っていた。
顔はよく見えないけど体は
小刻みに震えている。
「今日だって笑うのキツかったと
思う。あいつ最近無理してんだよね。」
私は何も言えなかった。
だってあの桐谷くんが無理してるだなんて
どうして無理するんだろう。
どうして
「俺、部活行くね。じゃあ」
「あ、うん。ばいばい」
私は本田くんに手を振った後、
しばらく動けなかったけど
それでも教室の中に入った。