私の初恋は人気者の君。
ガラっ
静かにドアを開けようと思ってたのに
思ったより大きい音が教室に響く。
「…!」
桐谷くんが私に気づいて
一瞬驚いた顔をした
でも
「あ、ごめん!あははっどうしたの?」
そう言って、すぐにまた
いつものきらきら笑顔に戻る。
そんな桐谷くんに私は何も返せなかった。
「な、なんで、早見さんが泣いてんの?」
気づいたら私の瞳には涙が溜まり
今にもこぼれそうに震えている。
「き、桐谷くん」
しゃくりあげそうな私に桐谷くんが
かけよってきて
ぎゅって抱きしめてきた。
「お願い。泣かないで」
私の涙は桐谷くんが抱きしめてきた
衝撃で頬に制服へとぽろぽろと
零れ落ちて光った。