神さまのせいでタイムスリップ先が幕末の京になりました
* * *
ここはどこ?
詩織が目を覚まして最初に思ったこと。
部屋の中は薄暗く 今は夜だと認識した。
キョロキョロととりあえず周りを見渡したが ただの和室で目新しいものは何もない。
いや、男が一人。
詩織が眠っていた布団の上にあどけなさが残る寝顔で突っ伏していた。
「あの…すみません」
詩織は男を起こそうと揺らしたが1ミリも起きる気配がない。
「あの…起きてくださいって!!!」
大声も出しながら何度も揺らすが全く起きない。
もう仕方ないから…かわいそうだけど呼吸が出来ないように男の鼻をつまんだ。
さすがに呼吸が出来なければ男は起きると思ったからだ。
詩織の思ったとおり 男は呼吸が出来なくて苦しいのか もがき始める。
「うわぁぁあぁ!!!
ごめんなさい!!!」
そうやって叫びながら男は飛び起きた。
急に叫びながら飛び起きた男に詩織は当然驚いた。
「…あの、大丈夫ですか?」
恐る恐ると詩織は男に尋ねる。
「ぼ、僕の方こそ急にすみません」
ほんの少し落ち着いたのか恥ずかしそうに笑いながら男はペコリと頭を下げて詩織に謝った。
が、次の瞬間
男はバサッと強めに布団から起き上がろうとしていた詩織の腕を掴み
「…悪いんですが何も聞かずに僕についてきてください!」
部屋から連れ出そうとした。
「えっ!?」
突然 詩織が驚くと同時に男が腕を引っ張ったが 頭と体がついていかずに
─── 転んだ。