口の悪い、彼は。
 



あれから1時間後、私は部長の部屋の前に来ていた。

部長と想いを通じ合わせてから1週間。

先週は結局あのままずっとこの部屋にいたから、こうやって部長の部屋の呼び鈴を押すのは初めてで、緊張してしまう。

ドキドキする。

時間とか言われなかったけど、連絡なしに来ちゃっても良かったのかな?

不安になったけど来たものは仕方ない、と私は思い切って呼び鈴を押した。

10秒ほど立って、そのドアがカチャッと開く。


「っ!」

「……入れ」

「は、はいっ」


そこに立っていたのは、濡れた髪の毛をタオルでガシガシと拭いている部長だった。

その姿はスウェットを履いていて、シャツのボタンをひとつ留めているだけ。

はだけている胸元には水滴がついていて、ドキッとしてしまうような色っぽさが漂っている。

水も滴るいい男、って言葉は部長のためにあったのか……。


「おい、何をボーッとしてる」

「あっ、すみません……。つい、みとれてました……」

「は?」

「だって……何か……」


エロいんだもん。

……とは言えず、モゴモゴしていると、痺れを切らしたらしい部長は私の腕をくいっと引いた。


「早く来い」

「ひゃっ!」


そのまま私はリビングに連れられ、ソファーに座らせられた。

部長も私の隣にボスンッと座り、その瞬間、ふわりとシャンプーの香りが鼻をかすめた。

先週、お風呂を借りて同じ香りに包まれた時のことを思い出してしまって、ドキンと心臓が音をたてる。

ヤバい。何か身体熱くなってきちゃった……。

 
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