口の悪い、彼は。
 

「わ、小春ちゃん!ほんとにここにいるんだ~!こんにちは!」

「!!こ、こんにちは」

「ちょっとちょっと~!今聞いたんだけど、ここ、男しかいないらしいじゃない!そんなむさいところ辞めて、うちに来ない!?社長には直談判してあげるから!」

「!?」

「おい。うちの事務を勝手に引き抜くな」

「だって小春ちゃんかわいいし、すごく愛嬌あるじゃない?あんたたちの下に置いとくの、もったいないもの!」

「はぁ。意味わかんねぇ。つーか、無駄話はやめてさっさと始めるぞ。おい!喜多村も何ボーッとしてんだ」

「!すみません!」

「やだ。あんた、横暴ねー」

「うるせぇな」


千尋は呆れた様子でデスクから手帳を取ってきて、オフィスの隣にある応対室に向かい始める。

そして、美都さんは私に向かってひらひらと手を振りながら、千尋の後ろに続く。

そのふたりの後ろを喜多村さんも慌てた様子で続く。

私はその光景を呆然と見ていた。

応対室の扉がばたんと閉まり、オフィス内に静寂が戻る。

……待って。

一体、何が起こってるの?

 
< 156 / 253 >

この作品をシェア

pagetop