口の悪い、彼は。
「わ、小春ちゃん!ほんとにここにいるんだ~!こんにちは!」
「!!こ、こんにちは」
「ちょっとちょっと~!今聞いたんだけど、ここ、男しかいないらしいじゃない!そんなむさいところ辞めて、うちに来ない!?社長には直談判してあげるから!」
「!?」
「おい。うちの事務を勝手に引き抜くな」
「だって小春ちゃんかわいいし、すごく愛嬌あるじゃない?あんたたちの下に置いとくの、もったいないもの!」
「はぁ。意味わかんねぇ。つーか、無駄話はやめてさっさと始めるぞ。おい!喜多村も何ボーッとしてんだ」
「!すみません!」
「やだ。あんた、横暴ねー」
「うるせぇな」
千尋は呆れた様子でデスクから手帳を取ってきて、オフィスの隣にある応対室に向かい始める。
そして、美都さんは私に向かってひらひらと手を振りながら、千尋の後ろに続く。
そのふたりの後ろを喜多村さんも慌てた様子で続く。
私はその光景を呆然と見ていた。
応対室の扉がばたんと閉まり、オフィス内に静寂が戻る。
……待って。
一体、何が起こってるの?