口の悪い、彼は。
9.ツンツンリーマンの大切。
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予想することなんて、簡単だった。
……千尋は、私と付き合っていようと別れようと、何も変わらないんだ。
週明けから4日目の木曜日。
私は月末の忙しさに追われていた。
いつもならその忙しさが憂鬱になってしまうけど、今は助かっていた。
忙しい方が家に帰るのも自然と遅くなって、余計なことを考える時間がぐっと減るから。
……それに、何の因果か、千尋は一昨日から来週の水曜日まで、遠方へ出張に行っているのだ。
先週の金曜日に千尋と言い合いをした後、土日は何の連絡も取らず、もちろん、千尋からも連絡なんて来ることはなく、週明けに会社で数日ぶりに千尋と顔を合わせた。
千尋の顔を見た瞬間、胸がズキンと痛んだけど、千尋は全く何も変わらない様子だった。
仕事中もいつもと同じように私を呼び出し、仕事を渡してきたり、「明日から出張だから、月末分の締めは高橋に全部任せる」という言葉を掛けてきた。
あまりの変化のなさにケンカをしてしまったことが夢だったのかもしれない、と思ってしまうくらいだった。
……でも、あれは夢じゃない。
現実だ。
……っていうか、もしかして付き合ってたことが……夢だった?
千尋の「高橋に全部任せる」という言葉に、以前だったらきっと離れているのは寂しいと思いながらも、仕事を任されたことに対して張り切っていたかもしれない。
でも今は……ただ、言われたことをミスをせずにこなさないといけない、と思うだけだった。
私にできることはそれくらいしかないのだから。