口の悪い、彼は。
「ふふっ、真野くんじゃないから安心してね」
「!」
「相手は大っぴらに言えるような人じゃなかったから美都にはまだ言ってなかったんだけど、最近になってやっと言える状況になったの。そろそろ美都には言おうかなって思ってた時に、知夏ちゃんの結婚式で真野くんに再会したのよね。それで美都が私を差し置いて、勝手に盛り上がっちゃったってわけ。ほんと、美都には困っちゃうよ」
「……」
「あ、さっき小春ちゃんと真野くんのことは誰にも言わないって言ったけど……ここに来る前に、美都には小春ちゃんと真野くんのことは話しておいた方がいいと思ったから、美都には伝えてきたの。勝手にごめんね?」
「あっ、いえ……」
「美都ね、“小春ちゃんに悪いことしちゃったから謝らなきゃ!”ってすごく反省してたから、美都のこと許してあげてくれないかな?」
「ゆ、許すなんて……!そもそも美都さんが悪いなんて思ってませんから!私がちゃんと美都さんに言わなかったのが悪いんです。逆にごめんなさい」
私は比奈子さんの言葉に、慌ててペコッと頭を下げた。
この前、私がちゃんと千尋とのことを伝えていれば、美都さんも比奈子さんも気を遣うことなんてなかったのだ。
……もしかしたら、千尋とケンカすることもなかったのかもしれない。
全部、私が悪いんだ。
「小春ちゃんは優しいね。美都にも、小春ちゃんが怒ってなかったこと、伝えておくね」
「はい!ありがとうございます。私からも連絡しておきます」
「うん。美都もきっと安心する。ありがとう」
「いえ!」
「うん。でね。真野くんとのことは今話した通りだから安心して?私は真野くんとよりを戻そうなんて、これっぽっちも思ってないから。きっと、真野くんも同じよ?小春ちゃん、不安に思ってたんだよね?」
「!えっと……はい。すみません……」
しかも勝手な私の勘違いで、ケンカまでしてます……。