口の悪い、彼は。
窓の向こうに広がる青空と青々とした木々を眩しく見ていると、喜多村さんがひょこっと横から私の顔を覗き込んできた。
「!?なっ、何ですか!?」
「何か高橋、急に元気になったな。スッキリしたような顔してる。何かあった?」
「えっ!?」
「いや、先週からずっと暗かっただろ?気になってたけど、高橋、話し掛けるなオーラ超出してたから、聞くの我慢してたんだよ」
「えっ、話し掛けるなオーラなんて、そんなもの出してませんよっ!喜多村さん、変なこと言わないでくださいよ~」
「いや。事実だろ?ていうか、俺の見る目を侮るなよ?大事な妹のことだし、元気があるかどうかくらい見分ける目は持ってるし!」
自信満々に喜多村さんは腰に手を当てて胸を張り、ふんっと鼻を鳴らす。
喜多村さんの妙な自信もおもしろかったけど、それ以上に“妹”という言葉が嬉しくて顔がにやけてしまった。
優しいお姉ちゃんと頼りになるお兄ちゃんがいる私って、幸せだなぁ。
「本当に大丈夫ですよ?ほらっ、この通り元気ですから!」
「マジかー?んー、そこまで言うならいいけど!」
にかっと笑って力こぶを作って喜多村さんと笑い合った時、がちゃっとオフィスのドアが開いた。
笑顔のままハッと振り向くと……そこにはずっと会いたかった人の姿があって、私は無意識に息をのんでしまう。