口の悪い、彼は。
私はふぅと息をついて、千尋の元へ向かう。
もちろん、そこには眉間に深い皺を寄せ、お怒りモードの千尋がいる。
「ったく、お前はほんと学ばねぇな!誰にでもわかる単純な誤字をすんなって何度言ったらわかるんだ!?たったの8時間くらい、仕事に集中しろ!」
「……すみません」
誤字で怒られることほど恥ずかしいものはなく、しかもそれがみんなに筒抜けだということがさらに恥ずかしさに拍車をかける。
……もう、絶対にそんなミスはするもんか!と私は決意する。
そして、ぺこっとお怒りモードの“部長”に頭を下げながら、誰か“部長”の機嫌をなおしてくれる“あんみつ饅頭”を取引先からもらってきてくれていますように、と心から願った。
こうして、ツンツンリーマンの千尋と私との日常が過ぎていく。
自分のミスに対して反省はもちろんするけど……何事にも真っ直ぐ突き進み、それを前面に押し出してくる彼と過ごすことができる毎日は、刺激的で悪くない。