口の悪い、彼は。
 

「謝る必要なんてねぇし!むしろ、願ったり叶ったりっつーか……超嬉しい!けど、知夏がこういうの珍しいからビックリした」


知夏の頭を俺の胸に寄り掛からせ、髪の毛をすくようにして頭を撫でる。

恥ずかしさのせいか熱を持った知夏の耳を時折摘むようにすると、その身体がぴくっと反応し、その反応に対してまた愛しさが溢れてくる。

知夏が俺の服をきゅっと掴んで俯いたその表情は、いつも以上に色っぽさを感じさせる。

そんな知夏に対して、俺の心臓は鼓動を速めた。

たまんねぇ。……もっと、抱きたい。

俺の欲に気付くはずもない知夏は唇に微かに笑みを浮かべ、ゆっくりとその口を開く。


「……小春の影響、かな」

「高橋の?」

「小春ってストレートに気持ちを表現するでしょ?今日もすごく伝わってきたから、私も何だか……俊くんに伝えたくなったの」


……もう無理。


「……なにそれ。超かわいいんだけど」

「俊く、……んっ」


その可愛すぎる理由と素直さに我慢なんかできるはずなかった。

俺は知夏の呼び掛けを最後まで聞くことはなく、その唇を塞いだ。

 
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