口の悪い、彼は。
「お姉ちゃんたち来たのかな!明良~、晴日ちゃんが来てくれたみたいだよー」
「はるひ!?きたの!?」
「うん!明良もお出迎えする?」
「いくー!はるひとあそぶんだ!はるひー!」
明良が笑顔でぴょんぴょんと飛び跳ねた後、嬉しそうにドタバタと玄関へと走っていく。
私と千尋はその後ろ姿を見守る。
「ほんと明良って晴日ちゃんのこと大好きだよね~。ねっ、将来いい感じになったりしないかなっ?いとこって結婚できるし!そうなるといいな~」
「気が早すぎるだろ」
「そう?4歳差なら全然問題ないよね~!女の子が年上の恋人同士って何か素敵だし、姉さん女房って良くない!?」
むふむふと妄想していると千尋が呆れたようにため息をついた。
「お前の妄想を明良に押し付けんなよ」
「そんなことしないもん!ちゃあんと子どもたちの気持ちを尊重して、変に干渉せずに大人しく見守りますっ」
「わかってるならいい」
「おかーさーん!」
「あっ、はいはい!今行くねー!」
玄関の方から飛んできた明良の声に私はローテーブルにバンっと手をつき、身体をゆっくりと持ち上げる。
「あー、よいしょこらせっ」
「ババくせぇな」
「仕方ないでしょー?10キロ増量中なんだもん!」
「暴れて家壊すなよ」
「暴れないもん!むしろ、この子の方が元気に暴れてるから~。ねー」
私はすっかり大きくなったお腹をさする。
そう。現在、明良の妹になる第2子を妊娠中の身なのだ。
出産予定日はちょうど10日後で、今から会えるのが楽しみでわくわくしている。
それはお兄ちゃんになる明良も、ツンツンした言葉を投げながらも私の身体を気遣ってくれている千尋も同じ。