口の悪い、彼は。
そんな明良は着実に千尋の言葉を覚えていて、千尋と結婚する前に「子どもの口が悪くなるかどうか」なんて話していた疑問の答えが見えつつある。
感情を表によく現すしよく笑う子だから、千尋みたいに怖い顔ばかりをしてしまうようなツンツンした大人にはならないとは思うけど、もし口が悪くなったとしてもやさしい人間に育って欲しい。
そして、もうすぐ生まれてくるこの子も。
子どもたちがただ元気で健康でやさしい子に育ってくれれば、それだけで十分。
それがいつも千尋と話している、私たちの願いなんだ。
「とにかく今はこの子が無事に生まれてきてくれることが一番」
「うん。そうだね」
「お茶入れるね!ゆっくりしてって!」
「ありがとう」
「あっ、そうだ!相談したいことがあるの!明良の部屋のことなんだけどね」
「うん、何?」
私とお姉ちゃんはおしゃべりをしながら、リビングに向かい始める。
私たちの過ごす場所には、あたたかくて明るい雰囲気で溢れている。
それは千尋や子どもたち、お姉ちゃんたちを始め支えてくれる人たちがいるから。
きっとこれからもっといろいろなことがあると思うけど、千尋と子どもたちと一緒に笑顔で過ごしていきたい。
それが私の一番の願いであり、私の幸せなのだ。
Fin.