口の悪い、彼は。
 

「……はいぃ!?なっ、何を言ってるんですかっ!?」


どういうこと!?

意味が全くわからないんですけどっ!!


「お前が言ったんだろ?俺のことを知りたいって」

「そ、それは確かに言いましたけど、でも!」


何でそうなるの!?

それとこれとは話が違うし!!

それに部長には壮絶美人の彼女がいるんでしょ!?


「“知りたい”って、俺のことが好きってことなんだろ?つーか、お前のその顔と反応を見ればどんなに鈍い人間でも、確信は持てる」

「!!やっ、やっぱり、私の気持ちがバレて……っ!?あぁっ!?」

「高橋。お前って本当にざる頭だな。何も引っかかりやしねぇし、考えてることは駄々漏れだし」

「いや、そういう問題ではっ……って、ちょ……っ、何してるんですか!?」


慌てている私なんかには構わず、部長は涼しい表情で私の腕をぐいっと引き寄せてくる。

一気に縮まった距離に私の心臓は飛び出しそうになった。

そ、そのきょり、じゅ、じゅうごせんち!!


「ぶ、部長……っ!?あのっ、ほんとにどうしたんですかっ?ねっ、熱でもあるんじゃっ!?ま、まさかっ!お酒を会社に持ち込んで飲んじゃって酔ってるとかっ!?」

「はぁ。ピーチクパーチクうるせぇな。つーか、俺はいつも通りだし、こうする理由も今の話の流れを考えれば簡単なことだろ?」

「ひゃ……んぅっ!?」

 
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