The Fool−修正版−

……ダルク平原……


そこらに屍が散らばり、荒廃はしていないが陰湿な空気が流れる場所。


そこにある巨大な石に座る巨人。


隣には猿ぐつわをされ、拘束された少女。


「うぅ～～……」


「お嬢様少しの間辛抱を」


そして彼らの目の前には紳士服の老人が立っていた。


紳士服の老人は拘束されている少女をなだめる。


「ぐはっはっはっは、この勝負俺の勝ちだな。マァロー」


巨人が笑いながら紳士服の老人、マァローに言う。


マァローはふぅ……とため息を吐く。


「まだまだ、何も起こっていないではありませんか。相手は『王国』に仕上げられた者に、その『王国』のガリ殿までいらっしゃる」


「その『王国』ってのは噂どおりに強いんだろうなぁ？部下の話では他の世界の序列三位ってはなしじゃあねぇか最強じゃないんだろ？」


「……特殊能力を得た人間のみがいる序列一位、エリート会社ヘブンズ・ロッド、またの名を『英雄』。序列二位、武器の扱いが長けた人間のみがいる最強傭兵軍団ウィザード、またの名を『軍隊』。……そして、序列三位、多種多様な種族がいる最強の万屋『王国』。先にその名が付いた為その社長は会社の名をキングダムとしたとも言われています」


「んで？その多種多様な種族がいる何でも屋の、ガリってヤローはどんな奴だ？」


マァローは静かに笑う。


「そこまで言えば戦う時に面白みがなくなるでありませんか」


巨人はグハハと笑う。


「たしかにそうだな！！」


「一つ、教えてあげましょう」


マァローはまた静かに笑い、はっきりと言った。


「呼び名はその団体の一人の力の強さが表されています。だからそのような呼び名が謂われているのです」


マァローは辺りを見渡した。





「ガリ殿一人で、あなたを含めてこの寄せ集めは軽々全滅でしょう」