The Fool−修正版−
「親分!ネズミ一匹を捕まえました!」


一人、縄でぐるぐる巻にされている者を引きずりながら報告にきた。


「……っく…」


それはバラだった。少し殴られ、顔には蒼い痣がある。


「一、二発ぶち込んだら大人しくなりましたぜ」


それを聞くと巨人は豪快に笑い、マァローの方を向く。


「お前が言うガリってのはこいつか?だったら噂は完全な嘘っぱちだな、おい」


マァローは我関せずという風に遠くを見つめる。


「この殺気に気付かないとは………ガラナドもまだまだ、赤子ですな」


その声は巨人ガラナドには届かなかった。


マァローは小刻みに震えていた。


このダルク平原全域に向けている純朴過ぎる殺気に。


「………私は帰ります」


マァローはそう言うとバラに目を向け、


『姫を頼みますよThe Fool』


と、口だけを動かした。


そして、少し足早にその場を離れた。


「なんだ。帰ったか。こいつは好きにしたっていいんだな?」


ガラナドは興ざめしたように言うと、


「いたぶれ」


と吐き捨てた。


それを合図にニ、三人がバラを蹴り殴る。


「ガラナド親分!!てぇへんです!!」


ガラナドは何だ。と言って、目を向ける。


だが、次の言葉を聞いて愕然とする。


「黒いローブを着た男が一人、ひ、一人だけで俺らの仲間を殺しながらこちらに進んできます!







この二、三分で既に五百人は殺されています!」





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