The Fool−修正版−
「あの…入っていいすか?」


「ん?ガリはんやないの。どしたん?こんなへんぴな所に」


「アバ、へんぴな所とはなんだ!ガリ兄、いいですよ入ってきても」


「ほら、入れ」


バルト達はガリに連れられ、広い部屋に案内された。


そこには、貴族っぽい人と中華っぽい人がいた。


「紹介しようか?中華っぽい奴は俺らの仲間『商王』ことアバック・J・キレースン。商いで放浪している奴だ。アバで良いそうだ。もう一人はここの親方様、ルーク・ヴァン・ピアイス。実はルークは俺の従兄弟でな、そこんとこよろしく」


どうりでいろいろ知っていたのか。


「君達が我が娘を連れてきたのか」


ルークは鋭い視線でこちらを睨む。


「……は、はい……」


たじろく少年らにガリさんが笑い出す。


「あいつなりに礼を言ってるんだ。気にするな。キザっぽいけど中身はいい奴だ」


「ガリ兄はいつもいつも一言多い」


わりぃ、と頭を掻くガリさん。


「どおれ、紹介も終わったさかい、ぼちぼち商売でもしまひょか」


アバは不意に立ち上がると窓に向かって歩き出す。


「ルークはん、庭使わせてもらうで。坊ちゃん達、わてとここから飛び降りるで」


「なんでだよ?」


マハが問うとアバは不適に笑う。


「何って、武器選びや、使い手の実力を十二分に発揮させるのが武器ってもんや。せやから、わてと一勝負や」


「あまり庭を壊すなよ」


「そりゃ、保障出来まへんな。うちら、何事も全力や。な、ガリは……あいや、ガリはんは違いますな」


ニャハハハと軽く笑うと窓を開けて飛び降りた。


「行くぞ、お前ら」


ガリも飛び降りようとする。


「なんで、ガリさんもくんの?」


「ん?おもろそうだから」
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