The Fool−修正版−
アバはトーン…トーン…とステップを踏む。


そして、急に腰を深く落とし、構えた。


「来られへんか。意気地無しどもが」


その言葉が攻撃の合図となった。


瞬時にマハがアバの後ろをとり、攻撃を仕掛けた。


「ほい」


アバは見ずにマハの拳を身体を前に反らし避ける。


「死角だったのに!」


「死角取っただけで勝負は変わらへんで」


「風刃…破弾!」


フィードの風のナイフが数本、アバの頭を狙う。


「うおっ危なっかしいやないの」


アバは今度は大きく後ろに反る。


「…ガッ!」


アバの後頭部が次の攻撃を仕掛けようとしたマハに直撃した。


そのまま、バック転をして距離を置いた。


「シャドー………!」


バラはわからなかったが、バルトはひそかにアバの影に成り済ましていたらしい。


だが、アバには気付いていた。


靴の爪先から巨大な爪を出し影を覆う。


「実体なんやろ?このまま殺されとうなかった動くのはやめぇ」


「……ッチ!」


マハとフィードが挟み込む。


「ほれほれ、胴体がら空きやで」


袖から何かを出し、二人の攻撃を上体だけを動かしながら巻き付けていく。


二人が距離を置いた時、アバはそれを思いきり引っ張る。


それは―鎖。


二人は宙に浮き、二人の立っていた位置にたたき付けられた。


…正確にはマハはフィードが立っていた位置に、フィードはマハの立っていた位置に、叩き付けられたのだが。


「後は……後方支援の、二人やな。あそこの金髪は不慣れやしいし、ガリはんが隣にいるさかい、手が出されへんがな」


戦闘モードのバケモノの眼光がエレボス、ライを捕らえた。
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