The Fool−修正版−

それは非情、故に優しく

「……ここか」


ガリは綺麗な花畑にいた。


ルークに聞いたのが真なら、彼らはガリが知っている氷熱ブラザーズではなく、「この世界」の氷熱ブラザーズだということになる。


ガリ達、キングダムの者達は異世界の住人だ。マルスがいるおかげで色んな世界を行き来できるが本来なら交わることは無い。


本来交わることが出来ない世界にはまるっきり姿形、能力が同じものがいる。


だが、性格だけは同じ者は存在しないと言い切れる。


全く、同じ境遇などないからだ。


考え方という物は常に形など無いのだから。


「……いた」


ガリはいないでくれと願った。


だが、分かっているのだ。


彼らが通った道は絶対に腐り、枯れ果ててしまうから。


「お兄さん、遊ぼう」


彼らはガリに気付き、周りを走る。


彼らの、通る道はすぐに枯れ果て、茶色の絨毯が敷かれていく。


「じゃあ、俺と踊ろうか」


ガリは仮面をつける。


「お兄さんはピエロなの?」


「ああ、ピエロさ。」


仮面はピエロ、だが、笑っているのではなく悲しみに濡れた蒼い仮面。それでも、口のみ笑っているのは動きたくないといっている両腕への怒り。


「何踊るの?ダンス?」
「フラメンゴ?」


彼らの目は空ろ。ガリは仮面の中から諦めと悲哀の目を向ける。


すぐに、彼は目を伏せる。


「さぁ、踊ろう。悲しみの円舞曲」


目を閉じたまま、死神と化した彼は鎌をクルクル回す。


「願わくば、クイネの城に行かず、全てを忘れて輪廻の中を歩むことを」
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