The Fool−修正版−

暴走

―マハが起きたか―


また、姿知祈の中に声が響く。


(バルトアンデルス…)


―バルトで良い。私も力を付けるために―


(…バルト……何をする気だ?)


―簡単な事だ。お前の身体を借りて―



―動くだけだ―






〜バルトも動くのか〜


(シルフィード、何する気だ?)


〜んじゃ、おーれも〜


(な、身体が………)






「私ニ炎ヲ浴ビセルトハ………炎ノ戦神ノコノ私ニ」


幕内の目の色が変わっていた。


瞳孔が血の様に赤く……


あれは今は幕内ではなく、異様な威圧感を放つ戦神マハであった。


「イデヨ『べがるた』」


幕内……マハの目の前に火の輪が出現した。


「させない……本気で行きます」


ウスナは巨大剣玉をフレイルの様に振り回し、一気に懐に入ろうとする。


…………が。


「少シ、遅カッタナ」


輪の中から両刃剣を取り出し、向かって来たウスナさんを剣の柄の先で腹を突いた。


「カッ……」


ウスナさんがその場に倒れる。動いていない所を見ると気絶してしまったようだ。


「私ハ貧乳ハ殺サナイ」


「なんでだよ」


「闇出。ソレハ昔、私モ貧乳ダッタカラダ」


「暴走してんだよね?」


「アア、私ノ感情ガ爆発シタ」


「じゃあ、なんで僕の名前わかるの」


「幕内ノ記憶カラ。ソレヨリモ、私ハござニ用ガアル」


「久しぶりだな。マハ。三百年ぶりか」


「オ手合ワセ願オウカ」


「三百年って……何年生きているの?」


「あ、ゴザは本当は人じゃないぞ」


二人はいきなり形を変えた。マハは炎の巨人に。
ゴザは………


「龍なんだよなぁ……」


「あれ、クレス、何処にいたん?」


「……寝てた。テヘッ」


どこまでマイペースなんだこの人達と呆れた闇出だった。
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