The Fool−修正版−
マルスの目には見えない拳が姿知祈を襲う。


「フン、拳圧ダけを飛ばしてキていル」


バルトは、姿知祈の身体は、拳圧を全て打ち返す。


「ならば…」


姿知祈の周囲に黒い穴がたくさん出現した。たぶん、これが時空の裂け目とかのようなものだろうとわかった。


黒い穴が拡がっていく。


「やバい!」


「逃がすか!」


穴が拡がるスピードが急激に上がり、抜け出す事なく黒い空間に閉じ込められた。


「時殺陣、黒満月」


「コれは………コピーでき……」


声はそこで途切れる。


何も見えない闇の中で攻撃を受けた。


少しずつ…だが、確実に速くなって攻撃してくる。


肩、足、脇腹……少しずつ攻めてくる。


「………ま……さ……カ…………!」


バルトがとぎれとぎれで言葉を吐き出した、その時。


感じてしまった……凶悪で純粋な殺気を……


まさか……この連撃は足止め……!


そう、思っても動けない体の目の前の黒に青が光る。


青が姿知祈の体を貫く。


貫いた青の奥に……


朱色(あかいろ)の……………血で真っ赤な星が綺麗に光る。


………あれ……?……星じゃないなあれ………あ………そうか………あれは………マルス…さんの………目………じゃ……ない………………か…


姿知祈の意識はそこで途切れた。
< 23 / 143 >

この作品をシェア

pagetop