The Fool−修正版−
マルスは姿知祈を背負い 、闇出達の所によろよろと着地する。


「黒満月を使うと疲れるんだよなぁ………」


「あ、お帰り。マルス」


クレスが救急箱を持って駆け付ける。


「黒満月使ったの?酷い傷だよ」


姿知祈は脇腹から血を流しグッタリしている。クレスは救急箱を置くと、ウ゛ゥゥンと音とともにハープを出現させる。


「おいおい……ハープヒーリング使うほどの傷か?急所は外したぞ」


「こっちの方が速くていいからね」


マルスは姿知祈を見ると、鼻で笑う。


「…本当にドッペルゲンガーの王の力か?コピーも『腕』だけだったしよ」


呟くマルスに姿知祈の声が響く。


「オールコピーは直接触れなければならんのだ。そして、他のドッペルとは違い、コピーしていても昔、コピーした技、属性なんぞは出せる」


本体の姿知祈が倒れているため、バルトは口だけしか動かせないようだ。


「本物を越えられるのか…そりゃぁ、下僕とは違うわけだ」


「全部コピーする前に倒されては面目丸潰れだがな」


「はは…言えてる。どうする?ゴザと肢切ちゃん、人型になってっからそろそろ決着つくと思うが観戦すっか?」


「いや……疲れた…寝る」


「……俺も……クレスー。寝るから全部終わったら起こしてー」


「言い忘れていたが、背負われた時、全部コピーしてしまった。はは」


「時空制御もか?」


「あれは無理だった」


「ま、コピーした能力、存分に使いな」


マルスは横になる。


「…………?!…………………気のせいか……なんか、強いのがいた気がしたが…寝る」
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