The Fool−修正版−
白く、鷹に似た鳥が二羽、大空を飛んでいる。


「あの身体は乱層雲、中は雲と雲の摩擦により雷とカマイタチが永続的に発生している。本体……つまりこの場合、ヒューと真上だな。奴等は中で 向かえ打つ」


「それじゃあ自分も傷つくじゃあないか。美しくないね」


「真上、中に入ってないようだけど?」


ゴザは派手に舌打ちをする。


「これでは寝てもいられんではないか」


「キレたヒューは五月蝿いからな」


ガリが肩を竦めたと同時に、空間とヒューゴが(空間はマスコヒラだけを)激突する。


風と風がぶつかり、その衝撃で辺りに暴風が吹き荒れる。


三人は飛ばされそうになるが、黒い物体が身体を支えてくれた。


「マスター……眠いよぉ」


「我慢しろよ、俺だって眠い」


「イエ〜ス〜マ〜スタ〜」


マルスは風のうねる音で起きたのか、酷くいらついている。


声かけたら殺されそうな程、いらついているので闇出達は黙っていた。


「この技だけは使いたかなかったのによィ」


声が風に運ばれ、地上までヒューゴの声が聞こえてくる。


「留風・時風(りゅうふう・ときかぜ)」


風が世界そのものを巻き込んで止まる。


    時が止まる


ただ一人、ヒューゴさんを除いて。


「うぉおおぉおらぁあああぁ!!!!」


ゴザさんに負けず劣らず、ヒューゴさんは素早かった。


違うのは斬撃の軌跡が見えるぐらい。


「時は風と共に……」


  全てが動き出す


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