The Fool−修正版−


驚き、ただゴザ達を見つめていた姿知祈達にウスナさんは微笑む。


普段見ると美しい顔立ちがなぜか今だけは不気味で恐ろしい。


「簡単な事ですよ。ただ喉や眉間、心臓、腹に弾丸一発打ち込むか、剣で一突き、もしくは、頭蓋を潰すだけですから」


「あのでっかい虫を倒したんだろィ。だったら大丈夫だってィ」


「人間と………化け物は…………違い……ます……」


重い口を開いたのは神擬だ。


神擬の言葉はマルスに笑われる。


「“ここ”に来たら、虫も犬も人間も同じさ。全てが全て、化け物さ」


「君達はまだ、自分達が人間だと思ってるんだね。だから、殺せない」


「僕達は化け物じゃない!!!」


弟薔の反論にゴザが一喝する。


「ならば、貴様等の能力はなんだ!!!!!その能力こそ化け物の域ではないか!!!それを持ってしても未だ!自分達が人間だと思っているのか!!!」


彼等は反論など、出来やしない。


「力を持ってしまった以上、その力を使わぬ事はない!その力を使わなければ生きていけぬ!それが世界だ!」


「“犠牲羊(スケープゴート)”は一人だけだ」


「羊さんは真上の連れて来たあの子だよ」
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