The Fool−修正版−
化け物のもう片方の腕を振り下ろす。


姿知祈は今度は両腕で防ぐ。


金属音が響き渡る。


「……キ、キキィ?!」


化け物がたじろくのがわかる。


「……ぐ……このぉ!!」


姿知祈は手の先をピン、と張り、鋭くなれ、と念じる。


化け物の懐に一気に入りナイフがわりの手で化け物の腹を貫いた。


手を抜くと緑色の液体がドロリ、流れた。


化け物は嫌そうに鳴きながら、俺を後ろから刺し殺そうと腕を振り上げた!


だが、その化け物の腕はいきなり重力に従い、地面に崩れた。


激しく体を震わしたかと思えば、姿知祈の前から姿を消した。


………ように見えただけのようだ。


化け物はビルに張り付き、動かない。


目の前には幕内がいた。


「……心配……させやがって……もう!!」


空間が駆け付けた。


「………って、ええ!!真上!なんで、飛んでるんだ!?…え?何々、聞いてないよ。こんなの」


空間の身長がいつもより20センチぐらい高く見えると姿知祈は思っていたら浮いていた。


「ん……なんか頭の中に声が響き渡って、なんやかんやでこうなった」


「あ、私も私も」


説明になってないような気がするが、まあ、いいだろう。と姿知祈は妥協した。


< 6 / 143 >

この作品をシェア

pagetop